About
古帛~コハク~
(帛は、きぬ、しろぎぬのこと)
今、毎日大量に廃棄されている日本の着物。
その中には、染められずに長いあいだ眠っていた、
白生地のままの絹もあります。
時を経て淡い琥珀色になったそんな絹を、1本1本吟味し、
時には「再練り」という工程で白に戻し、
新たな命を吹きこんで、
今を彩る染帯によみがえらせています。
染帯KOHAKUの特徴は以下の3つ。
1、新古生地を使用していること。
染められないまま、一般のご家庭の箪笥の奥や廃業した呉服屋さんに眠っていた新古生地。
もともとは大変質が良く、現代ではもう織られていないような絹も多く見られます。
少し黄戻りしていても、湯通しや再練りなどの工程を経て
輝くばかりの白絹によみがえるのを見るたび、日本の絹のパワーを感じます。
染められもせず捨てられてしまうのはあまりにも悲しい。
お蚕様からいただいた大切な絹を、一反でも多く拾い上げたいと願っています。
2、伝統的な手描友禅の技法で染めていること。
染帯KOHAKUの監修とメイン制作は、マルニ友禅工房染色家 鈴木三千絵。
30数年の間に1,000本を超える帯を制作してきました。
特徴は、現代ではとても少なくなった真糊(もち米糊)糸目と、
金銀加工や顔料描きなどの丁寧な仕上げ作業。
今、私達の社会は色鮮やかな模様に溢れています。
一方で、染色に限らず人の手から一点一点生み出された物というのは
大量生産品とは違う、特別な幸せを与えてくれるものです。
それは炎のゆらぎや雨音、木漏れ日の心地よさにも通じるかもしれません。
現代の豊かさ、便利さをありがたく享受しつつも、
私達は手仕事の大切さを手放してはいけないと考えています。
マルニ友禅工房では、お誂え制作等では基本的に全ての工程を行っていますが、
染帯KOHAKUでは監修とメインの制作を染色家鈴木三千絵が、
そして部分的にいくつかの工程を、
全国に残る貴重な専門の職人さん達にお願いしています。
また、若い世代に技術を伝えていく目的から、簡単な工程は
工芸大学などで学ぶ学生さん達にもお手伝いいただいています。
3、今を楽しむための色やデザインであること
アンティークも大好きだし、正統派の古典文様にはやっぱり惹かれるし、
現代的なワントーンも、和にとらわれない大胆な感じも楽しみたい。
今を生きる私達の感性は、とても自由です。
そんな私達がわくわくするような、
コーディネートを考えていたら一日が楽しくなるような、
素敵な帯をお届けしたい。
古い生地を使い伝統的な技法で染める、いわゆる本物でありながら、
軽やかでちょっと特別な帯を目指しています。